前回の記事では助産師の年収や国家試験について、私の経験をお話させていただきました。今回は助産師がどのようなお仕事をしているのか、私がお仕事をする上で、どのような気持ちで働いているのか、などお伝えできればいいな、助産師の仕事について少しでもイメージできたらいいなと思い記事にしました。
外来業務
まずは外来業務についてです。助産師は産婦人科の外来診療でも活躍します。妊婦健診の診察介助、主に医師の診察のお手伝いを行います。子宮の大きさや腹囲を測ったり、下肢の浮腫の有無を観察し母子手帳の記録、電子カルテの入力、医師が内診や培養検査を行うようであれば、妊婦さんを内診台へ案内し、検査などの説明も行い、内診、検査の医師のお手伝いをします。
妊婦健診後は、妊婦さんが何か不安に思っていることはないか、わからなかったことはないか、表情を観察したり気持ちに寄り添い、必要であれば再度医師からの説明を依頼したりすることもあります。もちろん、病院にもよりますが、妊婦さんは順調に妊娠経過をたどれば、外来では医師とゆっくりと話すことなく、出産となったり、淡々と業務的に進んでいく妊婦健診では、不安な気持ちやお産に対する気持ちを表に出すことなく出産となってしまうこともあります。
医師は胎児に異常がないか、妊婦の状態が異常となっていないかなど神経を集中させ、エコーなどを行っており、妊婦さんの表情や不安を察することができないこともあります。
そんな時に、助産師が妊婦さんの気持ちを感じ取り、不安や悩みを表出しやすいように、お話をする時間をとることもあります。医師には直接聞けないことを私たちに話してくださる妊婦さんもけっこう多いです。
もちろん、自分から何でも相談してくださる妊婦さんについては心配ないのですが、「忙しそうだな」と助産師や医師へ質問することを躊躇される妊婦さんもいらっしゃるため、できるだけ妊婦さんの表情には注意して対応するようにしています。「いつでも話しかけていいですよ」という雰囲気を作り、こちらからも声をかけるようにしています。
また、外来では、出産後の1か月健診を医師と助産師が共同で担当します。ベビーの体重や身長などの測定、全身を観察し異常がないかなどをみます。産後1か月のママとお話をし、ベビーとの生活で困ったことはないか、相談を受けアドバイスを行います。産後のママは、ホルモンバランスが乱れているため、情緒不安定になりがちです。慣れない育児、夜間の頻繁な授乳により睡眠不足も相まってマタニティブルーズや産後うつとなる可能性もあります。
助産師のサポートは出産で終わりではなく、産後も続いています。ママが赤ちゃんとの生活が楽しいと感じられるよう、笑顔で育児ができるよう願い、気持ちを傾聴したり、アドバイスを行い、必要があればご家族とお話をしたり、1か月健診後もサポートを継続しています。
病棟業務
妊婦さんの中にはつわり症状が強く、点滴を行うために入院する妊婦さんもいます。また、切迫早産や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの治療のため、入院を必要とする妊婦さんもいます。入院中の妊婦さんのケアも助産師が行います。血圧や体温測定、点滴の交換や採血、洗髪などの保清のお手伝い、ベビーの状態やお腹の張りの状態を観察するためのモニターの装着、妊婦さんの病状についての理解度を確認したり、医師との情報共有などを行います。
病棟勤務の中でも大切にしていることは妊婦さんの気持ちです。妊婦さんが今どのようなことを考えているのか、不安に思っていることは何か、困っていることは何か、を常に考えるようにしています。更に出産に向けて今後考えられる状態を説明し、時期を見て出産についてのお話もしていきます。
合併症を持ち、入院という不安な中、少しでも出産を安心して迎えられるよう、満足できる出産となるよう、出産に対しての心の準備を一緒に行いサポートしていきます。
出産
妊婦さんが陣痛が始まった、もしくは破水したなどがあると、自宅から出産施設へ入院となります。入院後のケアを行うことも助産師の仕事です。陣痛の状況や胎動の状態、陣痛や破水の時間など産婦さんからお話を聞き、ベビーの状態とお腹の張りの状態を観察するためのモニターを装着し、子宮口がどのくらい開いているかの内診を行います。陣痛開始の時間や破水の時間を確認することは出産をサポートするうえで大切なことです。
ここからは、ベビーが元気に生まれてきてくれること、妊婦さんができるだけ痛みが和らぎ、安心して、そして異常となることなく満足のいく出産となるようサポートするよう全力を注ぎます。
陣痛の痛みの緩和のため、陣痛がくるたびにマッサージを行い、陣痛が終わったらお部屋の環境を整えたり記録をしたり、また痛みがきたらマッサージを行い、陣痛が終わったら飲み物を渡したり産婦さんと会話を行ったりします。痛みの程度にもよりますが、基本的に陣痛がきている間はマッサージを行い、陣痛がきていない間に他のことを済ませるという感じです。
分娩中は順調にお産が進んでいるのかを予測し、順調に進んでいない場合は、何が原因で子宮口が開いていないのか、を考え、お産が順調に進むようにケアを行います。
ケアを行う・・・というよりも産婦さんと一緒に頑張っています。頑張っている産婦さんをみていると、私たち助産師も頑張れーと強く願いながら一緒に頑張ってサポートしています。そして赤ちゃんが生れてきてくれた時には「あなたがお腹の中にいたのね」 「かわいいー」と、ただでさえかわいい新生児なのに、ここ数時間、産婦さんと一緒に出産を頑張った仲間のようにベビーを捉え、より愛着が生れていて、すごく嬉しい気持ちになります。産婦さんがすごく満足そうな表情で「かわいい」とベビーを触る様子をみると、とても感動します。産婦さんと一緒に達成感を感じさせていただいています。
女性にとって、とても貴重な出産に立ち会わせていただいていること、お手伝いさせていただいていることにとても感謝の気持ちと、感動で、胸いっぱいになります。私が産婦さんのお手伝いをしているのではなく、産婦さんが頑張っている姿をみることで、助産師の仕事を続けるエネルギーをもらっているようです。私が助産師を続ける活力となっているのは、産婦さんの赤ちゃんを想う気持ち、産婦さんからのエネルギーだなと思います。
出産についてはまだまだ、ここでは書ききれないため、また後日、私の溢れる思いを記事にまとめたいと思います。
私の1人目の出産は、まさかの大絶叫の出産でした。静かにとても上手に出産される初産婦さんを何人もみてきました。まさか自分が大絶叫のお産をするなんて思ってもみませんでした。大絶叫しながら出産する助産師もここにおります。今後、私の出産経験談についてお話していく予定ですので、またそのブログも見て頂けたらなと思います。
長々と読んでいただきありがとうございました。
最後に、ここでお話した内容は、すべての出産施設の助産師に当てはまることではありません。あくまでも、私が常日頃お仕事をする上で大切にしていること、心がけていることをお話しました。もちろん、心がけてはいてもすべてができているわけではないですし、失敗もたくさんしています。
また、上記に記載している業務を看護師が担当している施設もあり、すべてが助産師の業務ではありません。助産師と看護師の業務の違いについて、今後お伝えしたいなと思っています。
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